大阪地名研究所

合併をめぐる市町村名や駅名、区名など、地名に関する話です。

日本地名研究所 会員(2018年より)
関心分野ー 市町村名(合併にともなう変遷、行政地名) 、消滅地名、駅名、ネーミング、韓国の地名など
関連論文ー 筑波研究学園都市の合併問題と新市名の選定過程(1987年)

2018年05月

天五に平五 十兵衛横町

現在の北浜あたりにあった地名。
開平小学校の脇に碑が立っている。
由来は人名。
天五と平五とは江戸時代の両替商、天満屋五兵衛と平野屋五兵衛のこと。
二人の五兵衛の店が道を挟んであったことから、五兵衛と五兵衛を足して十兵衛横町と呼ばれたという。
DSC01550

大津線の駅名変更

2018年3月、京阪電車大津線の駅名が4つ、改称された。 浜大津ー>びわ湖浜大津 別所ー>大津市役所前 皇子山ー>京阪大津京 坂本ー>坂本比叡山口 上の4つの改称には、2つのパターンがある。

1.前または後ろに地名を加え、もとの駅名を残す

2.完全に別の駅名に変更する

たとえば浜大津、坂本駅の改称が1のパターン。 皇子山と別所が2のパターンにあたる。 まず1の傾向について見てみよう。 浜大津+琵琶湖 =びわ湖浜大津、坂本+比叡山=坂本比叡山口はそれぞれ、従来の駅名に観光地を加えたもので、観光地としてアピールしたい意図は感じられる。 ただびわ湖浜大津駅の琵琶湖、は範囲が広い。はっきり言えば、大津線ほとんど琵琶湖の脇を走っている。 浜が琵琶湖の浜を指すとしてでもある 。 また気になるのはその表記である。なぜ琵琶湖ではなくびわ湖なのか。

そこでびわ湖の使用例を見てみよう。 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 、びわ湖バレイ、びわ湖テラス 、びわ湖大津観光協会 、びわ湖大津プリンスホテル(滋賀) 、ホテルピアザびわ湖 、びわ湖大津館 観光関係の施設で、びわ湖の表記が目立つ。 ただ字の難しさでいえば、比叡山も簡単とは言えない。 読みやすい、読みにくい、そのような理由でせっかくある漢字表記を捨て、簡単に駅名にひらがなを採用していいものだろうか。また、ひらがな2文字、漢字4文字なども、バランスの悪さを感じさせる。 皇子山から京阪大津京駅へ改称は、JR大津京駅を意識したもの。こちらも京の文字が2つ入るせいか、とてもバランスが悪い。またJR大津京駅は湖西線の大津の玄関駅であるが、京阪大津京駅は玄関駅ではない。京阪大津線の玄関駅は浜大津駅である。浜大津駅と大津京駅が同じ線に存在する。混乱が増えるばかりではないだろうか。 そして別所から大津市役所前の駅への改称。役所の名前は強い。移動しないイメージもあるし、至便性もある。ただそのために、別所という駅名をあっさり捨ててもよかったのだろうか。こちらこそ併記ができなかったのだろうか。

大阪市の新しい区名?

大阪市が都構想を発表し、大阪都が実現した場合、現在の大阪市のエリアに設置される特別区について、新しい区名を公表した。

構想によると、大阪市のエリアに設置される特別区の数は4つで、現在の24区が4つに合併される。 その区の詳細を見てみる。 北区(北、都島、福島、旭、城東、鶴見、東成) 中央区(中央、西、浪速、大正、西成、住之江、住吉) 南区(生野、天王寺、阿倍野、平野、東住吉) 東西区(東淀川、淀川、西淀川、此花、港) この「東西区」が特に批判が高まっているとの報道があった。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20180407-OYT1T50032.html

この批判には私にも納得できる。 方角を示す区名として、これほど不適切なものはない。 だいたい東か西かわからないし、日本にある地方自治体の名称で今までこのような区名は例がない。 しいて言えば、方角が並ぶ地方自治体といえば西東京市ぐらいしか思い浮かばない 。 東西区以外にも気になる点がある。都構想によれば住之江が中央区、東住吉が南区となっている。 住之江が中央にあると思い浮かべる住民が大阪にどれほどいるだろうか。 同じことは東成が北区であることにもいえる。 東成区の東には東大阪市がある。 また、同じく東大阪市と接する生野区は、南区である。そして いまミナミと通称呼ばれるエリアは南区ではない。 南区にないミナミ、ミナミのに南区は市民にわかりやすいだろうか。

都構想の区名が地名を採用せず、方角の名称にこだわったのは、大阪都の下になるためと思われる。 方角が採用された場合、たとえば大阪都北区となり、現在とほぼかわらない印象がある。 そのために東西区のような、意味がわからない区名が案としてあがることになったと思われる。 この方角は大阪城を基準にしているとの話もあるが、それでもおかしい。 梅田は大阪城の西にあるが、北区ではないか。 批判を受け、東西区ではなく方角ではない淀川区にする案もあるようである。 その場合、ほかの区は納得するだろうか。たとえば 住吉が地名として消えてしまうことに、抵抗はないだろうか。ターミナル名である天王寺も、このままでは地名として消えてしまって良いのだろうか。また天王寺が南区にあることも納得してもらえるだろうか。 また大正、此花、生野のような区名でしかほとんど見ない地名も消えてもいいのだろうか。 また東成、西成といった昔から大阪にあった郡名も消えてもいいのだろうか。

そもそもこの4つにわける区割りに問題はないだろうか。 港区と東淀川区が1つになっているが、区役所が1つでも移動など問題ないのだろうか。 また東成区と福島区が同じ区として、1つの意識を持てるのだろうか。 大阪市としてならわかる。問題は北区としてである。規模にこだわりすぎて、おかしな区割りになっていないだろうか。 そもそも24区のままで問題があるのだろうか。 東京都にも23の区があるが、多すぎて合併という話はきかない。 また東京都には昼間人口が5万人を下回る区も存在する。 大阪の場合、人口が最小の区である大正区でも64355人。 大阪には大正区よりも人口が少ない地方自治体もある。 これらの問題は、いずれも都構想自身がなくなれば問題はない。ただ都構想が進む前に、まず区の合併を進める意図も感じられる。特別区となる前に合併しないと、合併が困難だからだろう。それでも250万人の大阪市が4つの区でうまくいくとは思えない。
最新コメント
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

  • ライブドアブログ