大阪地名研究所

合併をめぐる市町村名や駅名、区名など、地名に関する話です。

日本地名研究所 会員(2018年より)
関心分野ー 市町村名(合併にともなう変遷、行政地名) 、消滅地名、駅名、ネーミング、韓国の地名など
関連論文ー 筑波研究学園都市の合併問題と新市名の選定過程(1987年)

2018年09月

安平、厚真、胆振

9月6日の北海道の地震で、ニュースにあふれた地名。

●安平町(あびら)
勇払郡安平町。
2006年、早来町と追分町の合併により誕生。
実は早来町と追分町はかつて1つの村(安平村)、1952年に追分村が分村するにあたって1954年に安平村が早来村に改称した経緯があった。だから合併でもとに戻るにあたり、50年ぶりにもとの村名が復活したことになる。分区で以前の町名が採用されることがあるが、市町村合併では珍しいケース。「あびら」はアイヌ語由来の地名とも言われている。

●厚真(あつま)
勇払郡厚真町。
1906年の二級町村制施行時から、厚真(あつま)であり、現在まで合併を経験していない。
こちらの地名もアイヌ語由来らしいが、はっきりしていない。

●胆振(いぶり)
昔は胆振支庁、現在は胆振総合振興局。胆振地方ともいわれる。
でもまず知らないと読めない地名。
由来はこの地域にあった胆振国。この胆振という名称は斉明天皇の時代、阿倍臣が胆振鉏の蝦夷を饗応したという故事にちなむ。この胆振鉏(いぶりさえ)が現在の胆振国にあたる、という証拠はない。新井白石は名前から勇払(ゆうふつ)郡にあったと推定し、北海道の名付け親である松浦武四郎
は胆振国の地域にアイヌ人が多いことから胆振鉏であると類推したらしい。だから実際は胆振鉏が現在の胆振の地にあたるかわからない。ただ胆振鉏という地名が近代になって一部改称しながら復活し、現在まで地方名と使用されていることになる。

#このたびの被害に合われた方にお見舞い申し上げます

大阪の地下鉄路線名

大阪の地下鉄路線名は、道路名が多い。

御堂筋線
堺筋線
谷町線
千日前線
中央線
四つ橋線
今里筋線
いずれも、道路名である。

長堀鶴見緑地線
長堀も道路名である。

中央線
こちらも中央大通の下だから、道路名と言える。

大阪では南北を走る通りの名称は、筋という。
南北に走る路線は5本ある。
この中で気になるのは、「筋」がつく路線と「筋」がつかない路線があることである。
御堂筋線、堺筋線、今里筋線は筋がついている。
谷町線、四つ橋線は、筋がついていない。
この違いは何なのか。
なぜ谷町筋線、四つ橋筋線ではないのか。
一つ考えられるのは、谷町、四つ橋はそれぞれ地名として存在し、谷町4丁目、6丁目、9丁目駅や四つ橋駅など、それぞれ駅名があることである。
御堂筋線には御堂駅や堺駅などはない。
あと、考えられるのは文字数である。
みどうすじ、さかいすじは5文字。
たにまちすじ、よつばしすじは6文字。
あるいは文字数のために谷町線と四つ橋線は筋を外したかもしれない。

しかし、いまざとすじも6文字である。
また今里筋線には今里駅がある。
今里筋線を今里線にしなかった他の理由があるかもしれない。


国名の変更ーエスワティニ王国(旧スワジランド)


アフリカにあるスワジランド王国。
国境がすべて南アフリカ共和国という珍しい国である。
そのスワジランドが2018年、国名を変更するという。
新しい国名は、エスワティニ王国。
ちなみにスワジランドとは、植民地時代からの名称で、スワジ人の国(ランド)という英語が由来であった。
それが今回、スワジ語の名称である「エスワティニ」に変更される。

アフリカではローデシアからジンバブエ、ダオメーからベナン、コンゴからザイール、そしてまたコンゴへといくつか国名を変更するケースが見られる。ローデシアや今回のスワジランドは、植民地を経て国名が命名されたという経緯が絡んでいる。そのスワジランドも独立から50年を経て、やっと今回の改称となった。

またアジアでもセイロンからスリランカ、グルジアからジョージアなどへの変更があった。ただジョージアについては対外的な国名の表記の変更で、国名の変更には当たらないかもしれない。この表記の変更はジョージアの反露感情が絡んでいる。

またヨーロッパではマケドニア(前ユーゴスラビア)から北マケドニアへの国名変更があった。こちらはマケドニアの地名を古来の地とするギリシャとの関係が絡んでいる。

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